災害が起きたとき、私たちはまず「安全な場所へ」と避難します。
避難所は命を守るための場所。
でも、そこにはもう一つの現実があります。
それは、日常の中で一番大切にしている「プライバシー」がほとんど存在しないということ。

体育館や公民館のような広い空間に、仕切りもなく人が集まる。
隣との距離は数十センチしかなく、話し声やいびき、生活音が絶えず聞こえてきます。
昼も夜も気を張り続ける環境では、心が休まる時間がなかなかありません。
「見られる」「聞かれる」「落ち着けない」。
このプライバシーが無くなってしまうことが、避難生活で最も大きなストレスのひとつです。
人に見られたくない瞬間が、いちばんつらい
避難所では、誰もが少なからず恥ずかしさや気まずさを感じます。
着替えや授乳、介護。
どれも本来なら個室で行いたいことを、人の前で行うのは本当に辛いです。
さらに、トイレや生理用品の処理、においの問題など、衛生面の悩みも絶えません。
休息や睡眠も、周囲の明かりや話し声で浅くなり、心身の疲れがどんどん蓄積します。
貴重品や私物の管理にも気を使うため、気持ちが常に緊張したままになってしまうのです。
避難所の運営側も工夫を凝らしていますが、物資やスペースには限りがあります。
だからこそ、自分の心を守るために「プライバシーを確保する備え」を持っておくことが大切です。
心を守る3つの防災アイテム
私は防災を伝える活動を続ける中で、被災地での支援や多くの方の声から学びました。
「この3つがあるだけで、心の余裕が全く違う」と感じたものを紹介します。

見られたくない行為を守る「お着替えポンチョ」
避難生活で最もつらいのは、人に見られながら着替えたりトイレへ行ったりすること。
特に女性や子どもにとっては、プライバシーを失うことが大きなストレスになります。
そんな時に頼れるのが、災害用ポンチョです。
かぶるだけで、まるで自分の小さな部屋ができたような安心感が生まれます。
着替えや体拭き、授乳などの際にさっと使えて、人目を気にせず動けるようになります。
ポンチョを選ぶときは、光を通さない濃い色・透けにくい素材を。
黒やネイビー、カーキなどの厚手タイプが安心です。
丈は足元まで隠れる長めのものを選ぶと、立ったままでも落ち着いて着替えができます。
ポンチョは防災リュックの外ポケットなど、すぐ取り出せる場所に入れておくと便利。
ポンチョは「恥ずかしさを我慢しないための道具」。
心のプライバシーを守る、頼れる一枚です。
見られたくないものを隠す「黒いゴミ袋」
避難所では、使用済みの下着や生理用品、ティッシュなど、
他人に見られたくない“私的なゴミ”が必ず出ます。
そうしたものが目に入るだけで気持ちが落ち着かず、心の負担にもなります。
そこで役立つのが黒いゴミ袋です。
半透明ではなく、不透明で厚手の黒や濃紺を選びましょう。
光を通さず中身が見えないだけで、安心感が全く違います。
におい漏れを防ぐためにも、丈夫な素材を選ぶことがポイント。
チャック付きの袋を数枚備えておくと、臭いの強いものを一時的に保管できて便利です。
家族共用とは別に、自分専用の袋を寝床の近くに置いておくことで、心のプライバシーが守られます。
ゴミ袋は、ただの消耗品ではありません。
「見せない」「隠す」という行動が、心を落ち着かせるための大切な備えになります。
清潔と快適を取り戻す「使い捨てのショーツ」
断水で洗濯ができない避難生活では、下着の替えがないことが想像以上のストレスになります。
肌に直接触れるものが汚れたままだと、不快感やかゆみが出て、気分も沈んでしまいます。
そんなときに助けてくれるのが、使い捨てのショーツです。
通気性がよく乾きやすい素材なら、長時間履いてもムレにくく、快適に過ごせます。
締めつけがないゆったりしたタイプを選べば、動きやすく心までリラックスできます。
特にボクサータイプのショーツであれば、見た目が女性ものに見えません。
もし洗濯ができる場合も多くの人がいる場所で下着を干すのは恥ずかしいです。
捨てる場合でも干す場合でも女性用のショーツだと分からないので安心です。
「下着を替える」たったそれだけのことが、人にとってどれほど大きな安心になるか。
清潔でいることは、自分を大切にすること。
その気持ちが、心の強さへと変わっていきます。
心を守る防災は「恥ずかしさを我慢しなくていい備え」
防災と聞くと、食料や水、懐中電灯といった「命を守るもの」を想像します。
でも実際の避難生活でつらいのは、誰かに見られたり、清潔を保てなかったりすること。
その小さなストレスが積み重なって、心を追い詰めてしまうのです。
だからこそ私は伝えたい。
防災とは、命だけでなく「心を守るため」でもあるということ。
ポンチョで自分の空間を作る。
黒い袋で見せたくないものを隠す。
清潔な下着で清潔さと自信を取り戻す。
この3つの備えがあるだけで、避難生活の不安は大きく変わります。
この先を生き抜くためにも我慢しないで自分を大切に扱ってほしいのです。
小さな工夫で、心の安心は守れます。
そしてその安心が、どんな状況でも前を向ける力になるということを知っていてください。

