南海トラフと向き合う町で育まれた“備えの記憶”
私が生まれた静岡県掛川市は、海と山に囲まれた穏やかな町です。
この地域では、古くから南海トラフ地震への備えを重ねてきました。
避難訓練のチャイムが鳴るたび、私は机の下にもぐり、
やがて校庭へと足を運ぶ――そんな動きが自然と身についていました。
「備えること」は、掛川では暮らしの一部であり、日常に溶け込んでいたのです。
DXが進む、防災の新しいかたち
近年、掛川市や静岡県の防災対策はさらに進化しています。
AIを活用した水道管の耐震化や、オンラインでの避難情報の発信など、
デジタル技術を取り入れた防災DXの取り組みが進んでいます。
掛川市では2017年度から、地震による火災を防ぐ「感震ブレーカー」の設置補助を始めました。
2018年には掛川城御殿や大日本報徳社大講堂などの文化財を含む建物で、IoT技術を活用した感震ブレーカーの実証プロジェクトも実施。
地震時には自動でデータを送信でき、市民からの関心も高まっています。
形は変わっても、「人の手による準備」と「技術の力」を組み合わせ、
安心を支える姿勢は昔と変わりません。
“備え”の本質は、時代が変わっても受け継がれているのだと思います。
お茶づくりに見る“備え”の精神

静岡といえば、お茶の産地でもあります。
お茶づくりは、天候を読み、湿度を感じ、葉の状態を見極めながら行う仕事です。
自然と向き合うその丁寧な姿勢は、防災にも通じるものがあります。
焦らず、慌てず、日々の積み重ねを大切にする――。
それがこの土地に根づく“備える文化”の根っこにあるように感じます。
自然と共に生きる知恵が、静岡の人々の暮らしを支えてきました。
販売者として、備えを「届ける」仕事
静岡に根づく“備える文化”は、
私が販売の仕事をするうえでも大切な軸になっています。
当ショップでは、防災に役立つ使い捨て下着をはじめ、清潔を保ち、毎日の安心を支えるアイテムを多数取り扱っています。
私はただ商品を売るのではなく、
その先の“安心な時間”を届けたいと考えています。
備えることは恐れることではなく、
未来の自分や家族を守るための優しさだと思っています。
“備えを形にする”仕事を通して、あの頃学んだ感覚を今も大切にしています。
防災を身近に感じてきた町で学んだこと
掛川で過ごした日々が、私の防災への向き合い方の原点になっています。
子どもの頃に刻まれた備えの記憶はいまも、静かに私の中に息づいています。
“備えること”が暮らしの一部にある――その意識をこれからも丁寧に重ねていきたいと思います。


